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名古屋地方裁判所 昭和29年(行)23号 決定

原告 加藤清六

被告 農林大臣

主文

本訴を東京地方裁判所に移送する。

理由

原告は「被告は別紙目録記載の公共の用に供されたる売渡保留の国有農地を原告に売払うこと、訴訟費用は被告の負担とする」との判決を求め、その請求の原因として述べた要旨は次のとおりである。

別紙目録記載の土地はもと原告の所有であつたが、昭和二十四年十月二十九日国に買収され、売渡保留の国有農地として管理されてきたところ、昭和二十八年九月頃木曽川濃尾大橋取付道路の建設及び立退家屋の移築にともない公共の用に供せられるに至つたから、農地法第八十条により原告に売払うことを求めるため本訴に及んだのである。

ところで、原告は当初本訴の被告の表示を愛知県、代表者知事桑原幹根として訴を提起したが、その後これを愛知県知事と訂正した上、農林大臣に変更する旨申立てたものであり、当裁判所は右表示の訂正並びに変更はいずれも許さるべきものと考える。

そこで右変更後の被告農林大臣に対する本訴の管轄について考えるに、行政事件訴訟特例法第四条によれば、抗告訴訟は被告たる行政庁の所在地を管轄する裁判所の専属管轄に属するものであるから本訴は被告たる農林大臣の所在地である東京都を管轄する東京地方裁判所の管轄に専属し、当裁判所に管轄権なきこと明らかである。よつて民事訴訟法第三十条第一項により主文のとおり決定する。

(裁判官 山口正夫 夏目仲次 黒木美朝)

(別紙省略)

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